出産は痛いもの!?無痛分娩のメリット・デメリット

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出産は痛いもの!?無痛分娩のメリット・デメリット

出産は痛いもの!?無痛分娩のメリット・デメリット

『出産は痛くて当たり前』という考えがまだまだ根強い日本において、私は2人の息子を無痛分娩で出産しました。長男を出産した2017年当時は、無痛分娩の事故などがニュースで取り上げられはじめ、無痛分娩を選んだことに対して家族からは心配する声も聞かれました。しかし、無痛分娩での出産を選んだことに後悔は全く無く、今でも我ながら良い選択をしたと思っています。 どんな出産にもリスクは付きものと言えますが、無痛分娩にもメリット・デメリットが存在します。この記事では、2人の息子を計画無痛分娩で出産した筆者が無痛分娩のメリット・デメリットの両方を紹介します。無痛分娩をしようか迷っている方の参考になれば幸いです。

無痛分娩とは

0012_2.jpg 無痛分娩とは、麻酔を使って出産時の痛みを和らげる分娩方法のことを言います。自然分娩ではとにかく痛みが強く、人によっては産後トラウマになってしまう方もいらっしゃるほどです。出産時の体力の消耗が激しく、自分の心も体も傷だらけの状態で赤ちゃんのお世話がはじまります。

一方、無痛分娩は、出産時の大きな痛みを和らげ、妊婦さんにかかる負担を軽くするための方法だと言えます。痛みの感じ方には個人差があり、痛みが全くないという訳ではありません。妊婦さんが耐えられる範囲の痛みに和らげ、分娩をできる限りスムーズに進めることを目的としています。

無痛分娩は『硬膜外鎮痛法』が一般的

多くの国で無痛分娩と言えば、『硬膜外鎮痛法」と呼ばれる下半身の痛みだけをとる方法が一般的です。日本も例外ではなく、私もこの『硬膜外鎮痛法』にて出産しました。 背中を丸めた状態でベッドに横たわり、背中に針を刺されるところから始まります。脊髄近くの『硬膜外腔』に細くて柔らかいチューブを通し、『局所麻酔薬』などを投与することで、分娩中に感じる痛みを和らげることができます。腰から下の感覚は鈍くなりますが、全く動かせないという訳ではありません。赤ちゃんへの麻酔薬の影響もほぼないことわかっています。『硬膜外鎮痛法』は無痛分娩だけに使われる方法ではなく、手術や手術後の痛みを和らげる目的で使われることもある鎮痛法のため、特別珍しいものではありません。

日本における無痛分娩の普及状況

ここ日本において、無痛分娩は年々増加しています。平成29年の厚生労働省の発表よると、日本の全分娩の約5パーセントが無痛分娩で行われたそうです。州によって差はあるものの、無痛分娩の普及率が約7割と高いアメリカやフランスといった国々と比べると、日本ではまだまだ普及しているとは言えない状況です。

医療体制の違いもありますが、『痛みに耐えてこそ出産』という日本ならではの風潮や『痛みを伴わない無痛分娩では愛情が薄くなる』といった完全なる思い込みが無痛分娩を選択しないことにつながっているようです。出産方法で赤ちゃんへの愛情が変わってくるなどといったことはありません。

現在、出産適齢期女性の親世代の時代には無痛分娩という選択肢自体がほとんどなかったために、デメリットのある無痛分娩での出産について家族から理解が得られず、サポートを受けられないということもあるかもしれません。

私が無痛分娩を選んだ理由

私が無痛分娩を選んだ理由は、大きく2つあります。1つ目は自然分娩で出産を経験した周りの友人たちが一同に、出産時の『想像を絶する痛さ』の熱弁を繰り返していたことから、出産の痛みに対する恐怖心が強くなってしまっていたからです。もともと怖がりという性格もありますが、海外では広く普及している無痛分娩は安全性が高く、メリットも多いことから、私に合っていると思いました。

2つ目は、安心安全な出産ができると自分で納得できた分娩施設が幸運にも自宅近くにあったからです。無痛分娩のデメリットを調べていく中で、産院選びが重要だという結論に至り自分なりに調べた結果です。実は友人の1人が実際にその産院で無痛分娩を経験していたということもわかり、実体験を聞くことができたことも決断に至った理由です。麻酔薬の副作用があるなど無痛分娩のデメリットは確かにありますが、無痛分娩そのものが危険というわけではないと考えています。むしろ無痛分娩から享受できるメリットの方が多いと思ったため、無痛分娩での出産を選びました。

無痛分娩のメリット5つ

0012_3.jpg まずは、無痛分娩のメリットを見ていきましょう。出産にはさまざまな方法がありますが、無痛分娩よる出産が海外で普及している理由は、多くのメリットがあるからです。

痛みが和らぐ

最大のメリットは、麻酔によって出産時の痛みが緩和されることでしょう。縫合時に痛みを感じないのもメリットです。実際に無痛分娩を経験して、私の場合は痛みも我慢できる程度だったので、2人目の妊娠・出産に対して、『無痛分娩ならまた産める』と早い段階からポジティブな気持ちになれました。

痛みへの恐怖がなくなり、出産に落ち着いて臨める

今まで経験したことのない痛みが襲ってくると思うと、出産前に恐怖心やストレスでいっぱいになる妊婦さんも多いですが、無痛分娩であれば痛みがほとんど軽減されるので、出産にリラックスして望めます。初めての分娩が自然分娩だったことで、痛みがすさまじく、ただの恐ろしい経験になってしまったという方の中には、『2回目以降は無痛分娩で産みたい』と考える方もいらっしゃいます。安心感を得られるのは無痛分娩のメリットですね。

出産後のために、体力を温存できる

なるべく母体に負担がかからないようにするための分娩方法なので、体力を温存できます。産院では出産を頑張った新米ママのために、豪華なお祝い膳やアロママッサージなどのご褒美を準備しているところが多いです。体力を使い果たしてベッドから起き上がれないとなるとそういったサービスを受ける気力さえなくなり、後々後悔することになるかもしれません。特に第2子以降の出産の場合、退院後の怒涛の生活のために疲労を最小限にしておくことは非常に大切で、大きなメリットとなります。

心臓や肺に負担がかかりづらい

元々心臓や肺に不調がある妊婦さんにとって、自然分娩で出産することはかなり体の負担となります。無痛分娩にすることで、呼吸の負担を和らげることができるため、心臓や肺に負担がかかりづらいと言えます。

血圧の上昇を抑えることができる

陣痛の痛みで、血圧は上がります。無痛分娩で痛みを和らげることができれば、血圧の上昇を抑えられます。妊娠高血圧症候群といった、血圧が高めの妊婦さんにとっては、血圧の上昇を抑えられるのはメリットですね。

無痛分娩のデメリット6つ

0012_4.jpg 続いて、出産時の無痛分娩のデメリットです。初めての出産の時は不安がたくさんあると思います。そのためにも出産前に、デメリットについてしっかりと理解しておくことをおすすめします。

無痛分娩に対応している施設が限られる

全ての分娩施設が、無痛分娩での出産に対応しているとは限りません。無痛分娩を希望していても近くに施設がなく、諦めたという方も中にはいらっしゃるでしょう。出産のために妊婦さん自身が頑張って施設を探さなければならないという点は、デメリットと言えます。無痛分娩は、妊婦さんや家族が納得して出産できる施設を選ぶことが非常に重要です。厚生労働省のホームページには、『厚生労働省のウェブサイトに掲載を希望した無痛分娩取扱施設の一覧』が公開されているので参考にしてください。

費用面の負担が大きい

無痛分娩で出産する際には、医師だけでなく妊婦さんのサポートや経過観察をする看護師の人員確保も必須で、産院にかかる負担は大きくなります。そのため、無痛分娩管理料なども、陣痛促進剤や麻酔薬の費用のほかに掛かってきます。無痛分娩は保険が適用されません。地域や病院によって金額は大きく差があるため、事前にしっかりと確認するようにしましょう。

いきむ力が弱くなる

下半身に麻酔をかけているために、いきむタイミングが分かりづらく、またいきむ力が弱くなりやすいということもデメリットでしょう。分娩中に全くいきめない、ということはありません。助産師や看護師がいきむタイミングを測り教えてくれるので、妊婦さんは指示に従っていきむことになります。麻酔のために出産中に意識がなくなることはないため、赤ちゃんが誕生する瞬間をしっかりとかみしめることはできますよ。

吸引器や鉗子を使う場合が多く、赤ちゃんの頭に傷が付くことがある

無痛分娩で出産する場合、麻酔薬の影響で陣痛開始から赤ちゃんが出てくるまでの時間が長くなる傾向にあります。そのため、吸引器や鉗子を使用する頻度が高くなります。吸引器や鉗子を使用することで、母体や赤ちゃんの頭に傷が付いてしまうリスクがあるのも事実で、デメリットと言えるでしょう。

分娩後に傷の痛みを感じやすい

分娩中の強烈な痛みは、麻酔によって和らげることができます。しかし、赤ちゃんは自然分娩での出産のときと同じように産道を通って出てくるため、麻酔が切れた後は、分娩によりできた傷の痛みを強く感じることになります。分娩中より分娩後の方が痛いというのはデメリットと言えるかもしれませんね。

麻酔薬による副作用がある

無痛分娩による出産のデメリットとして、多くの方が気にするのが麻酔薬による副作用です。麻酔の副作用により、血圧が低下する場合があります。血圧を上げる薬を投与したり、酸素マスクを着けたりと、処置が必要です。また、分娩中は排尿感が弱まったり、足に力が入らなくなったりすることもあります。ほかにも皮膚のかゆみや発熱なども比較的起こりやすい副作用と言えますが、適切に麻酔薬を使用すれば、大きな悪影響をもたらすことはありません。

しかしながら、頻度は非常に低いですが重い症状が出る場合もあります。麻酔薬の効きすぎや麻酔薬の中毒などのほかに、硬膜外麻酔のチューブの入っている経路を通して神経に菌が侵入してしまい、感染症を引き起こす場合があります。また、チューブを入れた場所の近くに血腫(血のかたまり)や膿ができてしまうと神経が圧迫され、手術が必要になることもあります。これらの発生率は非常にまれで、無痛分娩で無事に出産を終えた方がほとんどではありますが、重い後遺症が残ったり、命の危険を伴ったりする可能性がゼロではないということも頭に入れておく必要があります。

まとめ

個人的には無痛分娩で出産することのメリットは、非常に大きいと考えています。しかしながら、メリットだけでなく、注意しなければならないデメリットも確かにあるのが無痛分娩です。信頼できる医師や家族としっかりと相談しながら、分からないことや疑問に思ったことは必ず確認し、不安を取り除いてから無痛分娩で出産するかどうかを決めた方がよいでしょう。

無痛分娩に対応している施設では、無痛分娩の方法や実績、出産の最中に急変した場合の対応方法などを公開しているところが多いため、参考にしてみてください。 出産するにあたり、もちろん周りの意見も大切ですが、お腹の中で10か月もの間赤ちゃんを育ててきたのは紛れもなく母親である妊婦さん本人です。妊婦さん自身が一番望む方法で、赤ちゃんを出産してくださいね。

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