妊娠中のおっぱいはどう変わる?乳首のお手入れは必要?

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妊娠中のおっぱいはどう変わる?乳首のお手入れは必要?

妊娠中、おっぱいは出産後に母乳を出すために色々な変化が起こります。

前もって妊娠中にはどの時期にどんなおっぱいの変化が起きるのかを知っておくことで安心して妊娠中を過ごすことができますし、産後の母乳育児に備えておっぱいを準備するお手入れをしておくこともできます。 今回は妊娠中のおっぱいの変化とお手入れ方法について紹介していきます。

そもそもおっぱいってどんなもの?

05.jpg そもそもおっぱいはどんなつくりをしているのか知っていますか?

妊娠中には母乳は少ししか出ませんが、出産後には母乳がでるようになったり、不思議ですよね。おっぱいは色々なホルモンによって変化していくのです。まずはおっぱいのつくりについて見ていきましょう。

乳房

乳房は乳腺が8割と脂肪が2割でできています。 乳腺は脂肪の中に埋まるように存在しています。この乳腺が発達し、ホルモンによって母乳をつくるように指令を受けることで母乳が作られ、たまるようになるのです。

非妊娠時のおっぱいは左右それぞれ150g程度で、出産予定日近くには400g程度、授乳中は600g程度になるのです。妊娠中におっぱいの中にある乳腺が発達することで乳房は大きく、重くなっていきます。

乳頭・乳輪

乳輪には脂肪はなく、筋肉や繊維でできています。その乳輪周辺の組織は乳頭を中心として放射状、円筒状になっていて、刺激を受けることで乳頭が硬くなり、赤ちゃんが吸い付けるようになるのです。

妊娠中にはホルモンの影響で乳輪や乳頭は大きくなったり、メラニン色素が沈着することで黒ずんで色が濃くなったりしていきます。  また、乳輪部にはモントゴメリー腺といって、皮脂腺と乳腺の組み合わさったプツリとしたものも存在します。

モントゴメリー腺からの分泌物には赤ちゃんがおっぱいを吸うことによって傷つくのを防いだり、病原体が身体に入ってくるのを防ぐ役割があります。また、赤ちゃんが引き寄せられるフェロモンも出ているといわれています。 出産後の母乳育児の準備として妊娠中から乳輪、乳頭、モントゴメリー腺も変化していきます。

妊娠中のおっぱいはどう変わる?

02.jpg 妊娠中は非妊娠時とは分泌されるホルモンの動きが変わってきます。 その影響で妊娠中にはおっぱいにも変化が見られるようになるのです。妊娠中のお母さんの身体は、産後に母乳育児をしていくことを見据えて、準備が始まります。いったいどのような時期に、どのような変化が起こるのでしょうか。

妊娠初期

妊娠初期に様々なホルモンの影響で母乳をつくってためる乳腺や母乳の通り道である乳管が発達します。また、乳腺はたくさんの袋が集まってできているのですが、その袋一つ一つが大きくなったり、増えたりします。乳管は母乳の通り道をしっかりとつくるため、数を増やしたり太くなっていきます。

この時期のおっぱいの成長にはプロラクチン、エストロゲン、プロゲステロン、ヒト胎盤性ラクトーゲン、副腎皮質ホルモン、成長ホルモンといったたくさんのホルモンが身体の中で分泌され、おっぱいに作用するのです。まだ目には見えませんが、妊娠初期のおっぱいには身体の中で大きな変化が起きています。

妊娠中期

妊娠中期になると母乳をつくるしくみがほぼ完成してきます。母乳をつくるために大きく関係するホルモンはプロラクチンというものですが、この時期のプロラクチンの身体の中の濃度は非妊娠時のなんと20〜30倍にもなるのです。

妊娠中は胎盤から出るプロゲステロンというホルモンの影響で母乳が分泌するのを抑えているのでたくさん出るわけではありません。出産後におっぱいが出るようになるのは、胎盤が身体の外に出ることで身体の中のプロゲステロンが薄まり、母乳を抑えることがなくなるためなのです。

妊娠後期

妊娠後期になると産後の母乳育児に向けた乳腺の準備はほぼ完了しています。出産が近くなるとホルモンの影響で初乳という母乳が作られ始めるようになり最初に出る母乳が分泌されてくることもあります。

初乳はつくられ始めるのですが、妊娠中は胎盤からでるプロゲステロンというホルモンで分泌をおさえているので、たくさん出るわけではありません。つくられた初乳は外に出ない場合は、身体の中で吸収されます。妊娠後期に尿検査で尿糖が出ることがありますが、それはこの初乳成分が吸収されたためだと言われています。

まだ赤ちゃんはおなかの中にいる段階ですが、いつ生まれてもいいようにおっぱいはしっかりと準備を整えているのです。

妊娠中にできるおっぱいのお手入れ

04.jpg 妊娠中には出産後の母乳育児に向けておっぱいは変化していきます。そのため、変化していくおっぱいに合わせたお手入れが必要になってきます。妊娠中からできるお手入れは大きく分けて2種類です。

1つ目は妊娠中のおっぱいの変化を妨げないようにするお手入れ、2つ目は産後の母乳育児をやりやすいようにしていくためのお手入れです。どちらも妊娠中のおっぱいにとって大切なお手入れですので、正しいお手入れ方法を理解して実践していきましょう。

変化するおっぱいに合わせたインナーをつける

妊娠中はおっぱいが大きくなっていきます。 それにともなって皮膚が急に伸びてしまい、おなかにできる妊娠線のようになってしまうこともあります。まずはしっかりと保湿するようにしましょう。

また、妊娠中のおっぱいはとても敏感になっています。いつもは大丈夫な繊維でもチクチクしたりかゆみを感じる方もいます。刺激の少ないインナーやブラジャーを選択することもおっぱいのお手入れとして重要です。発達してくる乳腺を妨げないように、おっぱいを締め付けるようなインナーやブラジャーは控えたほうがいいでしょう。

おっぱいを清潔に保つ

母乳を分泌するホルモンは妊娠中にも少なからず分泌されるようになり、そのホルモンの刺激で妊娠中でも母乳がにじみ出ることもあります。にじみ出た母乳が乳頭に付着した状態となり、皮脂や角質などが混ざり合って、乳カスと呼ばれる白いカスができることがあります。

乳カスは簡単なお手入れで取り除くことができます。

コットンにオイルを染み込ませ、乳カスのある部位に貼り、上からラップをして10分ほどオイルパックをします。すると乳カスがオイルによってふやけてとれやすくなります。オイルパック後はいつも通りボディソープで優しく洗うとよいです。ゴシゴシと強く洗う必要はありません。1回でお手入れを終わらせよう!と思わず、取れなかった場合は別の日にまたやってみましょう。

乳頭・乳輪のマッサージ

出産後には赤ちゃんはお母さんの乳頭・乳輪を吸って母乳を飲み取ります。赤ちゃんが吸い付く強さは想像以上に強いと感じるお母さんがほとんどです。妊娠中に乳頭・乳輪のマッサージをし、お手入れをしておくことで痛みを軽減できたり、赤ちゃんにとっても飲み取りやすいおっぱいを準備しておくことができます。

ただ、乳頭をマッサージすることで子宮を収縮させるオキシトシンの分泌を促す刺激となることもあります。切迫早産と診断を受けている方は医師や助産師と相談しましょう。 お腹がはりやすいという方も慎重に行うようにし、適宜医師や助産師と相談しましょう。

妊娠37週以降は出産に向けた準備として乳頭・乳輪のマッサージは効果的です。子宮を収縮させるホルモンであるオキシトシンは陣痛のときに必要となるホルモンです。なので乳頭を刺激することで陣痛を起こしやすくする効果もあるのです。

1)乳輪部のマッサージ 赤ちゃんがおっぱいを吸うときには乳頭のみを吸うというイメージがあるかと思いますが、実は赤ちゃんは乳輪も一緒にくわえて、舌と上あごでしごくようにしておっぱいを吸うのです。そのため、乳輪部を柔らかくするお手入れをしておくことで赤ちゃんが飲みやすく、お母さんも痛くなりにくい乳輪・乳頭の状態を準備できます。

方法としては、入浴時やボディクリームをぬった時に片方の手でおっぱい全体を支え、もう片方の指先で乳輪部に触れ、優しくくるくると円を描きながら乳輪部全体をマッサージしていきます。 乳輪部は筋肉と繊維でできているので毎日のお手入れの積み重ねで柔軟性がアップしていきます。

2)乳頭のマッサージ 乳頭の皮膚はとても薄いので赤ちゃんがおっぱいを吸うときに、乳頭の先だけを吸ってしまうと切れてしまったり、乳頭が硬い状態だと赤ちゃんがうまく吸っていても切れやすくなったりします。

もともとあまり刺激を受けない場所でもあるので、妊娠中に赤ちゃんにおっぱいを吸われる前準備として刺激に慣れさせておくことも大切です。また、お手入れによって柔らかくなることで赤ちゃんが吸いやすく、かつトラブルの予防にもつながります。

方法としては爪を立てずに乳頭から乳頭の付け根と乳輪部を一緒に指ではさむ感じでつまみます。指の向きを変えながら、全方向に圧がくわわるようにつまんでいきます。次につまんだまま優しく引っ張り出します。最後は指でつまんだまま優しくこよりをつくるようによじります。それぞれ1~2分ずつ行うだけでも効果的です。

まとめ

02.jpg 今回は妊娠中のおっぱいの変化についてと、妊娠中にできるおっぱいのお手入れ方法について紹介しました。

おっぱいは産後の母乳育児に向けて、妊娠中からホルモンによって様々な変化が起こり始めます。その変化を妨げないように、出産後に母乳育児をスムーズにスタートできるように妊娠中からお手入れしていくことが大切です。

お手入れ方法としては今回、変化するおっぱいに合わせたインナーをつけること、おっぱいを清潔に保つこと、乳頭・乳輪のマッサージをすることについて紹介しました。

無理なく妊娠中の生活に取り入れられるものを実践していきましょう。

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