妊娠がわかったらスタートするのが「妊婦健診」です。
妊娠中の母子の健康を守るために、産婦人科で行われる妊婦健診はとても大切です。
今回は妊婦健診に着目して、その内容やスケジュール、受診の際に気を付けるべきポイントなどについてご紹介していきます。
妊婦健診とは
妊婦健診(正式には「妊婦健康診査」)は、産婦人科などで妊娠中の母体と赤ちゃんの状態を定期的にチェックする大切な検査です。
妊娠中の約10ヶ月間、妊婦さんが安心して過ごすために欠かせないものとなっています。
健診では、妊娠の進行具合や胎児の発育を確認し、もし何か問題があれば早めに対応していきます。
また、妊婦さんが感じる不安や疑問についても医師や助産師に相談することができるため、安心して妊娠生活を送るためのサポートを受けることができます。
妊婦健診は、産婦人科のある病院や助産院などで受けることができます。
基本的には出産を予定している病院や助産院で受診しますが、里帰り出産を予定している場合などは、里帰りするまでの期間は別の病院で受診することもできます。
産婦人科によっては、妊婦健診のみの受診を受け付けていない場合もあるため、里帰り出産を予定している場合には、必ず最初にその旨を伝えるようにしましょう。
また、転院のタイミングや「妊婦健診の補助」を使用できるか否かなどの確認も行っておくと安心です。
「妊婦健診の補助」とは妊婦健診にかかる費用を助成してくれる制度です。
具体的には、問診や体重・血圧測定、血液検査や超音波検査といった妊娠中の母子の状態を把握するための検査が対象となります。
妊娠に関わる検査がすべて助成対象というわけではなく、検査内容によっては全額自己負担となる場合もあるのであらかじめ認識しておきましょう。
また、エコーや血液検査であっても検査回数に限度が設けられているため、こちらも自己負担となる場合もあります。
妊婦健診の補助は基本的には母子手帳が発行された自治体の指定医療機関での使用となるため、里帰り出産の場合に利用できないこともあります。
ただし、一度支払った費用については、後から申請することで助成を受けることができます。
産後は新生児の育児で忙しくなることが予想されます。
申請には期限があるため、あらかじめ確認して申請の流れを把握しておくことをおすすめします。
妊婦健診のための準備
次に、妊婦健診に行く際の準備について見ていきましょう。
妊婦健診の持ち物
・母子健康手帳
・健康保険証(マイナンバーカード)
・病院の診察券
・妊婦健診の補助券
・お薬手帳(持っている場合)
・お金
・時間をつぶせるもの
妊婦健診では、上記のように毎回必要となるものが多いため、母子手帳ケースにまとめておくと健診のたびに用意する手間を省くことができます。
補助券は、回数券のように複数枚つづられているタイプのものが多いです。
また、待ち時間が長くなることがよくありますので、本・タブレット・スマートフォンなど、時間を有効に使えるアイテムは必須の持ち物と言えるでしょう。
今後はマイナンバーカードを健康保険証として利用する仕組みに移行されます。マイナンバーカードを忘れずに持参しましょう。
妊婦健診におすすめの服装
産婦人科等でおこなわれる妊婦健診では、さまざまな検査が行われますが、スムーズに進める上でおすすめの服装があります。
血液検査やエコー検査の際には、袖や裾をまくることになります。
したがって、そのような動作がしやすい服装がおすすめです。
特に冬の寒い時期には、重ね着をして袖がまくりにくくなることを避けるため、カーディガンやパーカーなど、脱ぎ着しやすいアイテムを重ね着するのが良いでしょう。
お腹が大きくなると、ワンピースを着る機会が増えるかもしれませんが、妊婦健診には不向きです。
超音波検査を受ける際には、お腹を出しやすいように上下が分かれた服を着ることをおすすめします。
また、妊娠中の冷えは避けるべきですので、体を冷やさないような服装を心がけましょう。
服に気を取られがちですが、靴についても着脱のしやすさは重要です。
体重測定や診察台に乗る際には靴を履いたり脱いだりする必要があるため、長いブーツなどを履いていると時間や手間がかかります。
冬のブーツを選ぶ場合には、着脱しやすいショートブーツなどがおすすめです。
産婦人科によっては、玄関でスリッパに履き替えるという場合もありますので、ご自身の通う予定の産婦人科のスタイルを確認のうえ、履物にも気を遣いましょう。
妊婦健診の流れ
続いては、母子健康手帳を交付してもらった後の妊婦健診のスケジュールや健診内容について詳しく見ていきましょう。
妊婦健診のスケジュール
妊婦健診は妊娠週数によって次のように健診の間隔が設定されています。
●初期(~23週頃まで):4週間に1回
●中期(24週~35週):2週間に1回
●後期(36週以降):1週間に1回
ただし、これはあくまで基本的な健診であり、母体や赤ちゃんに不安がある場合などには、追加の妊婦健診を受けることがあります。
妊婦健診は、安心して妊娠期間を過ごすために非常に大切です。
検査結果によっては、産婦人科医から追加検査を勧められたり、治療が必要になることもあります。
また、身体に不安を感じた場合には、躊躇せず医師や助産師などに相談しましょう。
妊婦健診の内容
毎回の妊婦健診で実施される項目は以下の通りです。
・体重測定
妊婦健診における体重管理は、妊娠中の健康維持と胎児の正常な発育を確保するために非常に重要です。
過剰な体重増加や体重不足は、母体や胎児にさまざまなリスクを引き起こす可能性があるため、毎回確認していきます。
・血圧測定
血圧を定期的にチェックすることで、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)など、妊娠中に発症する可能性のある高血圧関連の問題を早期に発見することができます。
・尿検査
尿検査は、妊娠中の母体の健康状態を確認するために非常に重要な検査です。
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)・妊娠糖尿病・腎機能の異常・感染症などの発見のために行われています。
・腹囲/子宮底長の測定
胎児が正常に成長しているか、または発育に異常がないかを把握するために行います。
・超音波検査
超音波を使うことで、胎児の状態や妊娠の進行具合を確認でき、母体や胎児に対する問題を早い段階で見つけることができます。
妊娠初期には膣からプローブを挿入して行う「経腟エコー」、妊娠中期から後期にかけては腹部にゼリーを塗り、腹部にプローブを当てて行う「経腹エコー(腹部エコー)」にて検査していきます。
妊娠週数に合わせた健診では、次のような項目が行われます。
●妊娠初期(~23週頃まで)4週間に1回
・内診(12週頃まで)
・血液検査
貧血や感染症・ホルモンの変動・妊娠糖尿病・妊娠中毒症などをチェックすることができます。
・子宮頸がん検診
●中期(24週~35週):2週間に1回
・血液検査
●後期(36週以降):1週間に1回
・内診
・血液検査
・NST(ノンストレステスト)
NSTとは、分娩監視装置を使って行う検査で、赤ちゃんが元気か、また子宮の状態が正常かを確認するためのものです。
通常30~40分ほどの時間を要する検査となっています。
妊婦健診の内容は産婦人科によって多少異なります。
出生前診断(胎児の健康状態や発育について調べる検査)を行っている産婦人科や、3D/4Dエコーで立体的に胎児の顔や体の姿を確認して、動画を保存してくれる産婦人科もあります。
詳しくは病院のホームページ等でチェックしておきましょう。
妊婦健診の注意点
では、妊婦健診を受けるにあたり、気を付けるべきことやあらかじめ知っておくと安心できることなどについてお伝えしていきます。
妊婦健診の補助券が使用できる時期
妊婦健診の補助券は、母子健康手帳を受け取るときに一緒にもらえます。
母子健康手帳を受け取ることができるのは、産婦人科等で赤ちゃんの胎嚢や心拍が確認できてからになります。
そのため、赤ちゃんができたかどうかの妊娠確認をするための診察には使用できません。
妊娠が確認できたら速やかに母子健康手帳や健診の補助券を受け取りに行きましょう。
検査はすべて助成の対象とは限らない
先にも少しお話ししましたが、妊婦健診の補助券は妊娠に関わる全ての検査を助成するものではありません。
あくまでも、妊婦健診は決められた項目の検査が対象であり、母子の状況に応じて産婦人科等が必要と判断した検査に関しては自費負担となります。
既定の検査を行ったうえでの判断となる場合も多いため、妊婦健診の際には少し多めにお金を持参すると安心です。
妊婦健診を受けないとどうなる?
妊婦健診は任意ではありますが、受診しない場合、母子の健康状態を適切に把握することができなくなります。
その結果、感染症や合併症のリスクが高まり、分娩時にトラブルが発生する可能性も増します。
妊娠中は、体調の変化や胎児の発育に関する細かいチェックが必要で、早期に問題を発見して適切に対処するために、定期的な健診を受けることがとてもに重要です。
健診を受けることで、母体の健康が守られるだけでなく、胎児の健康も支えられます。
妊娠中は自己判断で健診を省かず、医師の指導に従って適切な時期に受診することが大切です。
まとめ
妊婦健診は、妊娠中の母体と赤ちゃんの健康を守るためにとても大切なものです。
定期的に受診することで、早い段階で問題に気づき、適切な対応ができます。
健診を受けることで、母子ともに安心して健康な妊娠を続け、リスクをできるだけ減らすことができます。
また、分からないことや不安なこと、疑問に思うことがあれば、妊婦健診の際に医師や助産師に積極的に質問し、妊娠に関する不安や疑問を解消してもらい、安心して妊娠生活を送れるようサポートを受けましょう。
出産に向け、お腹の中で日々育っていく赤ちゃんの成長を、安心安全に見守っていきましょう。