陣痛が怖い!無痛分娩って誰でもできる?

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陣痛が怖い!無痛分娩って誰でもできる?

陣痛が怖い!無痛分娩って誰でもできる?

「陣痛」と聞くと、「痛い、怖い」というイメージを思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。実際、陣痛を経験した人は「今まで生きてきた中で1番痛かった」と感じる人がほとんど。わが子に会うための試練とはいえ、できれば痛みを感じずに出産したいものですよね。そこでこの記事では、無痛分娩についてご紹介します。無痛分娩とはどんなものなのか、誰でもできるのかなどの疑問を解決していきます。陣痛に対して恐怖心がある人は、ぜひ参考にしてくださいね。

そもそも陣痛ってなに?

0007_2.jpg 陣痛とは、お腹の中にいる赤ちゃんを外に出すために子宮の筋肉が収縮し、それによって起こる痛みのことをいいます。陣痛には前駆陣痛、本陣痛、後陣痛がありますが、それぞれの違いは陣痛が起こる時期によって分けられています。

前駆陣痛

前駆陣痛とは、出産前に起こる不規則な痛みのことです。出産に向けてママの身体が準備を始めたサインでもありますよ。妊娠中は赤ちゃんが子宮から出てしまうのを防ぐため、子宮の入り口はしっかりと閉じられています。しかし出産が近づくと、子宮の入り口が少しずつ開き、赤ちゃんが通る産道もやわらかくなってきます。こういった準備をしているときに起こる痛みが前駆陣痛です。出産前に起こるとはいえ、前駆陣痛がくるタイミングは人それぞれ。出産より1カ月以上前に起こる人もいれば、出産の前日に起こる人もいます。前駆陣痛がまったくない人もいるので、前駆陣痛が起こらないからといって心配する必要はありませんよ。

本陣痛

一般的にいわれている「陣痛」は、この本陣痛のことを指します。実際に赤ちゃんを子宮から外に出すために、筋肉を収縮させることで起こる痛みです。前駆陣痛との違いは、陣痛の間隔が一定であることや痛みが強いことではありますが、人によっては本陣痛でも痛みが不規則だったり、微弱陣痛で強い痛みを感じなかったりすることもあります。

後陣痛

後陣痛とは、出産を終えたあとに起こる痛みのこと。赤ちゃんが入っていた子宮は大きく膨らんでいますが、これをもとの大きさに戻すために子宮が収縮し、それによって痛みが起こります。特に初めて出産する人よりも、経産婦のほうがこの後陣痛の痛みは強いといわれています。

無痛分娩とは

0007_3.jpg 無痛分娩とは、麻酔によって出産時に起こる痛みを和らげることをいいます。無痛分娩のほかに和痛分娩と表現する場合もありますが、無痛分娩と和痛分娩の分け方に明らかな定義はありません。無痛も和痛も、どちらも出産の痛みを和らげるという意味合いは同じです。しかし産院によっては、麻酔処置を行う場合を無痛分娩、ソフロロジー方などを用いて痛みを少しでも和らげる方法を和痛分娩としているところもあります。無痛分娩も和痛分娩も対応していないという産院もあるので、事前に確認しておきましょう。

無痛分娩では、主に背中の脊髄近くに麻酔を投与する硬膜外鎮痛と、点滴を使って鎮痛薬を投与する方法があります。硬膜外鎮痛は鎮痛効果が高く、意識もハッキリしています。点滴での鎮痛薬投与は、硬膜外鎮痛に比べると和痛効果が弱く、眠気が出る場合も。点滴投与はママの胎盤を通って赤ちゃんにも少し薬が届いてしまうため、赤ちゃんにも眠気が出る場合があります。しかし薬の効果が切れるともとに戻るため、過度な心配は必要ありません。

また、現在の日本での無痛分娩率は10%程度。海外では60%にも及ぶ国もあるため、日本はまだまだ少ないですよね。その背景には、日本人特有の「お腹を痛めて産んでこそ、子どもに愛情が湧くもの」という根拠のない概念が残っているのも原因の1つです。ですが、自然分娩でも帝王切開でも無痛分娩でも、ママが自分の命をかけて産んでいることに変わりはありません。どんな出産方法でも赤ちゃんへの愛情は同じなので、気にする必要はありませんよ。

無痛分娩のメリットってなに?

こちらでは、無痛分娩を選ぶことのメリットをご紹介します。

痛みが軽くなる

無痛分娩の目的は、何よりも出産時の痛みを和らげることです。麻酔なしの出産に比べて痛みが2~3割になると言われています。痛みが和らぐことで、ママもリラックスした状態で出産に挑むことができますよ。また陣痛への恐怖心のあまり、妊娠中にストレスがたまってしまうことも。無痛分娩では陣痛への恐怖心も軽減されるため、穏やかな妊娠生活を送ることができますよ。

会陰切開の痛みも感じない

赤ちゃんの頭が大きい場合や会陰の伸びが悪かった場合は、会陰切開をすることがあります。少し切るぐらいではあまり痛みを感じないこともありますが、傷が大きくなってしまったときでも無痛分娩の麻酔をしているため、痛みをあまり感じずに済みますよ。

意識がハッキリしている

基本的に意識はハッキリしているので、赤ちゃんが生まれてくる瞬間をしっかり見届けることができますし、カンガルーケアのあるところではすぐに抱っこすることも可能です。

計画分娩になる

無痛分娩は出産日を決めて行うことになります。そのため、あらかじめ家族に休みをとってもらったり、入院セットを用意したり、出産準備をスムーズに行うことができますよ。

出産後の回復が早い人が多い

出産に強い痛みが伴うと、かなりの体力を奪われてしまいます。無痛分娩では痛みが少ないため、出産後の回復が早い人が多い傾向にあります。

緊急帝王切開にも対応しやすい

自然分娩でも無痛分娩でも、お産の途中で緊急帝王切開になる可能性がありますよ。もし帝王切開になった場合、無痛分娩だとすでに麻酔が効いている状態なので、追加で少し麻酔を足すだけですぐに帝王切開に取り掛かることができます。一方で、自然分娩の場合は始めから麻酔を投与しなければいけないので、麻酔が効くまでに時間がかかってしまいます。その差は約10分といわれていますが、赤ちゃんが危険な状態である場合などは、少しでも早く対応できる方が安心ですよね。

そもそも陣痛ってなに?

0007_4.jpg 先ほどご紹介したメリットとは逆に、無痛分娩にはデメリットもあります。無痛分娩を考えている人は、どちらも知っておきましょう。

陣痛が弱くなる可能性がある

無痛分娩では、麻酔の影響で陣痛が弱くなってしまうことがあります。陣痛が弱くなると出産するまでの時間が長くなったり、吸引分娩や鉗子分娩になることも。出産が長引いてしまうと、産後の回復も遅れる可能性があります。

麻酔が効かない可能性がある

麻酔の効き方は、人によってさまざまです。まったく麻酔が効かずに痛みを感じる人もいれば、部分的に麻酔が効かず、その部分だけ痛みを感じるという場合も。これは体質によるものもあるので、無痛分娩を選んだから絶対に痛くない、というわけではないことも知っておきましょう。

腰や背中が痛くなる

麻酔はカテーテルを入れて行うため、一時的に腰や背中が痛くなる場合があります。これは時間が経てば痛みもなくなるので、特に心配はありません。

頭痛や排尿障害、神経障害などが起こることがある

まれではありますが、麻酔の影響で頭痛が起きたり、排尿障害や神経障害が起こったりすることがあります。どんな医療行為にも必ずリスクはあるので、その辺りも理解した上で判断しましょう。

無痛分娩って誰でもできるの?

0007_5.jpg 無痛分娩は、希望すれば誰でもできるのかといえば、そうではありません。無痛分娩が叶わない場合もありますので、こちらでご紹介したいと思います。

出産の進みが早い人

無痛分娩では、麻酔を入れるための処置に時間が必要です。計画日までに陣痛がきてしまったり、お産のスピードが早かったりすると麻酔の処置が間に合わず、無痛分娩を行うことができない場合があります。

肥満体質の人

無痛分娩では、背骨の突起と突起の間に針を刺す必要があります。ですが肥満の場合、背骨の突起とくぼみの差がわかりづらく、針で神経を傷つけてしまう場合も。自分で背骨を触ってみて、突起とくぼみの差がしっかりとわかるようであれば大丈夫ですよ。

血液凝固異常がある人

血液凝固異常とは、血液が固まりにくい体質のこと。麻酔を使うことで身体に麻痺が残る可能性があるため、無痛分娩はできないといわれています。

麻酔薬にアレルギーがある人

麻酔薬にアレルギーがある人は、麻酔薬を投与したときにアレルギー症状が出てしまうことがあります。命に関わる場合もあるため、基本的に無痛分娩はできません。

無痛分娩はこんな人におすすめ!

0007_6.jpg 無痛分娩に得られるメリットを踏まえて、こちらではどんな人に無痛分娩がおすすめなのかをご紹介します。

陣痛への恐怖心が強い人、不安障害がある人

無痛分娩は出産時の痛みを和らげることが目的であるため、陣痛への恐怖心がとても強い人や、パニック障害などの不安障害がある人にもおすすめ。特に妊娠中は陣痛への恐怖心とずっと戦わなければならないため、無痛分娩を選んでおくと安心材料になりますよね。少しでも恐怖心を減らしておくと、リラックスした状態で出産することができますよ。

1人目の出産が難産だった人

陣痛は何度経験しても痛いもの。特に1人目が難産だった場合、陣痛への恐怖心はさらに高くなってしまいます。2人目以降は育児をしながらの妊娠生活になりますので、特に心の余裕もなくなりがちですよね。そんな人へも、無痛分娩はおすすめです。

妊娠高血圧症候群や高血圧の人

妊娠してから妊娠高血圧症候群になった人や、妊娠前から高血圧であった人にも、無痛分娩はおすすめ。出産時の痛みが強くなると、血圧が高くなってしまう場合があります。血圧が上がると赤ちゃんへ送る酸素の量が減ってしまい、赤ちゃんに負担がかかってしまうことも。無痛分娩によって痛みが和らぐと、血圧が上がることなく、赤ちゃんへの酸素もたっぷり送ってあげることができますよ。

まとめ

0007_7.jpg 無痛分娩は出産時の痛みを和らげることで、陣痛への恐怖を減らすことができます。恐怖心が減ることで穏やかな妊娠生活を送ることができ、出産時もリラックスできるので、陣痛が怖いと思っている人におすすめしたい分娩方法です。しかし無痛分娩にはメリットと同時にデメリットもありますので、どちらも理解した上で判断しましょう。

また、無痛分娩は誰でもできるというわけではありません。体質などによっては無痛分娩が叶わない場合もあるということを知っておきましょう。

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